冷やす?温める? 急な痛みの時に・・・

痛い時・・・冷やした方がいいの?温めた方がいいの?

以前から多く頂く、ご質問です。

 

【結論】

・冷やすべき時→炎症がある、急性期が多い、冷やして痛みが治まりやすい時、など。

・温めるべき時→慢性的な症状が多い、温めてラクになる(温めても痛みが増大しない時)など

 

少々ややこしいのですが・・・痛みがある時=炎症がある時です。

炎症とは・・・

  1. 痛みがある
  2. 腫れてあがっている
  3. 赤みがかっている
  4. 熱がこもっている
  5. 普段どおり動かない、機能しない

という5大徴候(サイン)がみられる状態です。

 

◆急性期・炎症期→冷やす

炎症が発生してから72時間(3日間)は炎症期、急性期といわれ炎症がピークに到達する時間です。

この時には冷やす事べきときで、上記の5大徴候をおさえるために行います。

(※ダメージの度合によっては、炎症期が72時間より長引く場合は、よくあります。)

例:どこかにぶつけてしまって腫れて痛い→痛みがひくまで冷やすべきです。

例:腰をひねってしまって痛い、痛みが発生してから72時間(3日)以上経っているのにまだ痛い→まだ冷やすべきです(冷やして痛みが和らぐならOK)

※この場合、かなりの痛み(炎症)なので、医療機関や鍼灸治療院を受診される事を推奨いたします。

イメージとしては・・・火傷した時には、まず冷水や氷で冷やします。ジンジン痛みがあるうちは冷やし続けますね。

つまり炎症がある程度おさまるまで冷やし続けている、という事です。

炎症が治まれば、痛みを緩和することができ、早めに回復傾向に移行させることになります。

 

 

◆慢性的なお悩み→温める(温めて痛みが増悪しない)

例:腰を痛めて、急な痛みは治まったけど・・・慢性的に腰が重だるい、ずいぶん前から疲れがたまると腰が痛い、違和感がある、などの慢性的な状態のとき。

腰の筋肉が凝っている状態が慢性的になっている。

温めて、凝った筋肉が和らぐ→血流がよくなる→溜まっていた老廃物や痛みの物質が血流で流されて痛みがラクになる、結果的に筋肉のコリ(緊張)がほぐれて楽に感じる。

つまりひどい程度の炎症状態ではない、という時です。

 

※冷やすべき?温めるべき?どちらから最初にやればいいか分からない。

※無難な方法としては、どこか痛めたときには、取り合えず冷やす。

温めてみて痛みがひどくなる→この時は、まず冷やすべきタイミングと考えられます。

応急措置として痛みをやり過ごし、医療機関に問い合わせて下さいませ。

 

鍼灸-はりきゅう-サロン イマージュ

北見成達

 

 

 

お灸の効果、炎症による「疼痛」について

疼痛とは・・・疼く(うずく)痛み(いたみ)と書きます。

そのほとんどが、末梢神経に何らかの刺激が及び引き起こされる感覚の事。

 

さて、お灸の効果としても「疼痛」は発生しえます。

例えると、皮膚組織に火傷になるまで温熱刺激を与えた場合などです。

いま時、そこまでのお灸の方法を行う鍼灸治療院は・・・あまり無いと思います。

お灸でごく微細な炎症を発生させれば生体防御反応を促す事ができます。

 

疼痛は炎症の5大徴候の一つで、因みに

  1. 疼痛
  2. 発赤
  3. 腫脹
  4. 熱感
  5. 機能障害

という五つです。

火傷や打撲などでも炎症となれば、上記5つの徴候が発現します。

「疼痛」=痛み。

痛みを感じる時、神経のセンサー(神経終末のポリモーダル受容器)が発痛物質という物質をキャッチし、痛みとして認識します。

火傷や打撲など、炎症により損傷した細胞からK⁺(カリウムイオン)が放たれます。

その他にも、ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニンなど体内にある細胞からそれぞれ発痛物質が放たれます。

因みに上記のような発痛物質を除去しようと働くメカニズムも人体には備わっています。

生体防御反応といいます。

 

さて、今回は「疼痛」という事について触れてきました。

もしも、お灸の温熱刺激(火傷なんかする必要はありません)で、いわゆる温かくて気持ちいい程度の刺激を及ぼせれば、生体防御反応を促し痛みの除去に働きかけることも可能です。

 

つづく

 

後記

内因性発痛物質を遊離させる細胞

肥満細胞→ヒスタミン

血小板→セロトニン

 

 

お灸の効果、炎症による「血管透過性亢進」について

お灸にも幾つかの種類や方法が存在します。

大まかにいうと、微細な「炎症」を発生させる事で生体防御反応を引き起こすという事になります。

生体防御反応を促すという事は・・・

身体に何らかの刺激を及ぼし、治ろうとする機能に働きかけるようなものです。

 

お灸をした時に、局所的に「炎症」が発生します。

炎症による反応をいくつか触れていきます、今日は「血管のう透過性亢進」

皮膚表面から行うお灸でですが、皮膚表面付近にある血管は静脈の枝ともいえる細静脈が多く在ります。

お灸による温熱を及ぼすと、この細静脈の内皮細胞がやや開きます。

ここから血漿成分が血管外に滲み出ます。

①血管透過性亢進 第1相(即時相)→お灸を行った直後~約30分程度に発生し、ヒスタミンやセロトニンという物質が関与すると言われています。

②血管透過性亢進 第2相(遅延相)→炎症が発生し、約30分後~約8時間程度で終息する反応

この反応を引き起こす物質は、プロスタグランジンE2と考えられています。

 

お灸という温熱刺激で発生する事象を細かく考察すると、その一には血管の透過性亢進という状況がとなります。

ざっくり言うと、健康になるために行っている、お灸による効果を得るための人体内の反応です。

 

つづく